昨日初めて行ったライブハウス。
そこは、もうかれこれ30年やってるそう。
昨日は練習日ということで、そこのステージで歌わせて頂いた。
実質上、"デビュー戦"となった。
人前での披露とはいえ練習なので、多くのダメだしを頂いた。
それは私の肥やしとなるよう、しっかりと心に留めた。
ところで、そのライブハウスのママさんに昨日初めてお目にかかった。
今年70歳と仰っていたが、元気でチャーミングという言葉の似合う可愛らしい方。初めての来訪者である私に常連さん達や9月に開催されるライブのことをご紹介して下さった。
「聞き取りづらいでしょ、ごめんなさいね。」と仰るママさん。
ママさんは数年前に舌癌と診断され舌を切除したとのこと。
宣告された時に、生存率は20%と言われたとか。
術後は、転移もなく元気に過ごされているそうだ。
そんな話をしていると、ママさんが、ある常連さんのギターを聴かせたいので「1曲歌わせてね」と仰った。
私はてっきり、その常連さんが歌うものだとばかり思っていたのだが、違った。
曲は、かの名曲「My Blue Heaven」。
歌ったのは、ママさん。
ママさんの歌は、なんと表現したらいいのだろう。
ただ「上手い」と書いてしまうのは簡単。
やはり可愛らしく、時にはパワフルで、上辺だけの表現ではない何かがある。
そして、何よりもすごく楽しそう。
きっと若い頃からずっと歌が好きで歌ってこられたに違いない。
そう感じさせるパフォーマンス。
ついこの前まで闘病していたということを全く感じさせない声、発音、発声。
ふと思った。
歌が好きで好きでたまらないのに、表現するために必要な器官を取り除かなければならないという現実を目の前に突きつけられたら?
生きることと引き換えに好きなこと、つまり生きる楽しみを奪われてしまう。
それに私が耐えることができるだろうか、決断ができるのか、と。
そんな考えが頭をよぎる私。
その目の前で歌うママさんは、本当に楽しそう。
きっと、真剣に向き合い、乗り越えて来た結果が、ママさんの歌として表現される、そんな感じ。
冒頭に書いた私の歌へのダメだしの中に、「真剣に歌っているか?」とあった。
決してふざけてなんかいないし、私なりに解釈して表現しているつもりであったが、
ママさんの歌を聴いたら、私の歌なんて所詮お遊びでしかない。
ママさんは、まさに、ポジティブなひと、である。
私もそうありたい。
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