2013/06/03

大人の役割

今日NHKで放送された「クローズアップ現代」では、東京大学の野球部が特集されていた。
この3年に渡り一度も試合で勝つことなく、50連敗という記録が更新されてしまったとのこと。

そこで今年の1月より特別ピッチングコーチとして投入されたのが、元巨人軍のピッチャーである、桑田真澄氏。
これまでの自身の経験をもとに指導を行うシーンが放送されたのだが、そのポイントをいくつか書き留めたい。



1. 常識を疑う
長時間の練習は上達につながると思われがちだが、必ずしも上達につながるわけではない。長時間の練習で翌日も疲労が抜けきれない身体で練習しても万全の力は出せない。もっと効率的にやろう、と。
一般的に言われている”常識”にとらわれずに、自身で考えて挑戦してみること。

2. 小さな成功体験を積み重ねる
決め球を確実に投げることができるようにする。
たくさん投げるのではなく、10球中8球を決められるように。
小さな成功体験を積み重ねることで自信につながる。

3.  自分で考えて行動する
野球において監督にできることは、出場選手を決めてサインを送ることだけ。
実際に野球をするのはグラウンドにいる選手なのだから、勝つために自分たちで考え適宜に行動をすること。


受験戦争を勝ち抜いて入学した東大の野球部員たち、甲子園出場者がいるようないわゆる東京六大学の他の野球部員たちとは身体も技術も環境も異なる彼らは、最初から諦め、試合での勝負を放棄しているように見えた。
負けても悔しがらない彼らを桑田氏は言葉少なく指摘する。
気持ちの問題だと自分たちで気づかせたいのだそうだ。


よい結果を出すことだけに専念したため、その後のことを考えず、ふたを開けてみると個人の成長は伴わない、チームワークも悪くなっている、等、結局何も出来上がっていなかったという結末を迎えるのはよくある話だ。

”勝つ”という結果を出すだけでなく、人を成長させることをも含んだ指導ぶりに目が釘付けだった。
上記で指導された人材は、野球だけでなく社会においても間違いなく通用する。


ゆとり世代は…なんて差別的な意味でよく言われるが、それを作り出したのは、その前の世代の大人の責任だと、ついこの前、仲間でそのような議論になった。

今日はお世話になっている方との間で、人に指導をするにあたり、その人への愛はあるか?という話題になった。


大人の社会的責任は、子どもを立派な大人に育てるということではないだろうか。
自分の子どもを、という狭い視野ではなく、子どもというすべてを、という意味である。

良いことは良い、悪いことは悪い、と、例え自分の子どもでなくても、直接褒めたり叱ったりしてしつけることができる大人が、今の日本にどのくらいいるだろうか?



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